セ氏温度 と カ氏温度の違い

日本の気温は「セ氏」で表現されるが、米国など一部の国では「カ氏」で表示される。

Yahoo!(米国版)で海外の天気を調べてみると、「気温72°」などと表示される。
「72度」は「セ氏72度」ではなく「カ氏72度」を示している。
「カ氏72度」は「約セ氏22度」に相当する温度だ。

カ氏温度はポーランド人の研究者ファーレンハイトが考案した温度の目盛りである。
氷点(水が凍る温度:0度C)は、カ氏温度で「32度F」になる。

カ氏(華氏)で表現すると、水は「32度F」で凍るのだ。

「32度F」の「F」はファーレンハイト(Fahrenheit)の頭文字に由来する。
なお、「0度C」の「C」はセルシウス(Celsius)の頭文字である。

中国語でファーレンハイトは「華倫海」と音訳された。
ファーレンハイトを「カ氏(華氏)」と表現するのは、中国の音訳に由来するのだ。
同じ理由で、セルシウスの音訳が「摂爾思」であることから、セルシウスは「セ氏(摂氏)」となった。

セ氏温度では氷点を0度C、水の沸点を100度Cとしているので合理的である。
ところが、カ氏(華氏)では区切りの悪い数字を使っているので使い勝手が悪いように思う。

ファーレンハイトは、実験で低温を得るのに非常に苦労した。
寒剤(氷と食塩)を使用して、やっと約マイナス17.78度Cに到達できるだけだった。
この時に得られた最低温度(約マイナス17.78度C)を、ファーレンハイトは温度の基点「0度F」としたのだ。

さらに氷点(0度C)を「32度F」とした。

セ氏温度 カ氏温度
−17.78度C 0度F
0度C 32度F

なぜ、氷点(0度C)に「32度F」を選んだのか?
「32」は半端な数に見えて、実は非常に合理的な数字なのである。
温度計に、温度目盛りを刻むときに「32」の威力が発揮される。
「目盛りを半分にする作業」を5回繰り返せば、32等分することができるのだ。

「32」は「2を5回かけた数(2の5乗)」だからだ。

温度計に、目盛りを刻むとき、寒剤の温度と氷点の間隔を、32個のピッチで分けることができるのだ。

仮に、氷点を「30度F」にしたら、等分ができない。
半分にしたら「15」なので、これ以上半分にする作業を反復しても30等分はできないのだ。

同様に氷点が40度Fでもダメだ。 40→20→10→5のように半分にしていくと、途中で5が登場する。
「40度F」の場合も40等分はできないのだ。

氷点が32度というのは、半端なように見えて、実は非常に合理的な数字だったのである。
ファーレンハイトは、後々の温度目盛りを刻む手間が楽になるように考えて「32」を選んだというわけだ。

寒剤の温度と氷点の関係が分かれば、以下のように変換することができる。
セ氏→カ氏:F=(9/5)×C+32:セ氏温度に(9/5)をかけ、32をプラスする。
カ氏→セ氏:C=(5/9)×(F-32):カ氏温度から32をマイナスし、(5/9)をかける。

この式の中に出てくる(9/5)は、32と17.78の比率である。

米国旅行時に、天気予報で、気温がピンと来なかったら、32をマイナスし(5/9)をかければいいのだ。

詳しい説明:「物理学解体新書/セ氏(摂氏)とカ氏(華氏)


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