ローマ法王 と ローマ教皇 の違い

例えば、「ピウス9世は最長在位の教皇」としている本と「最長在位の法王」としている本がある。
同一人物についてある本では「教皇」と呼び、別の本では「法王」と書いているのだ。

法王・教皇の違いは、職制の違いではないようだ。
つまり、英語の「Pope」に対し、「教皇」と「法王」と二つの訳語があるのである。

ある執筆家は「教皇」を使い、別の人は「法王」と書く。
なぜ、二つの訳語が混在しているのか?

このような疑問を持つ人は多いとみえて、カトリック中央協議会では同じを質問をよく受けるらしい。
カトリック中央協議会のサイトには、ズバリ、その回答が記載されている。
俗世の言葉で表現すれば「FAQ」といったところだろう。

カトリック中央協議会は、1981年のヨハネ・パウロ2世の来日を機に表現を「教皇」に統一した。
マスコミ各社や関係機関にも「教皇」を使用するように依頼したそうだ。

バチカンは、日本と外交関係を樹立した時点で、駐日バチカン大使館を「ローマ法王庁大使館」として外務省に届け出て、登録されていた。
当然、これを「ローマ教皇庁大使館」に変更するように申し入れたという。


ところが、ここで「お役所としての外務省」が壁にように立ちはだかった。
「一度、登録したものは変更できませんよ」
ということだ。

政変やクーデターによって国名が変更されない限り、登録された国名は変更しないらしい。
外務省の在日大使館・領事館のリストを見ると、確かに「ローマ法王庁大使館」となっている。

このような背景から、「教皇」への統一が徹底されず、俗世間では、今でも「教皇」「法王」が混在しているのである。

私が調べたところ、中学・高校で使用される教科書には「教皇」が使用されていた。
(すべての教科書を調べたわけではありませんが)

教科書を扱う文部科学省が「教皇」、外務省で「法王」で統一してるのだとしたら、これも「縦割り行政」を垣間見ることができる好例と言えるだろう。


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