預金 と 貯金 の違い

漢字で書くと、預金と貯金の違いが見えてくる。
「お金を預(あず)ける」のが預金、
「お金を貯(ため)る」のが貯金である。

お金を貯めておくにはイロイロな方法がある。
貯金箱に入れておいてもいい。
封筒に入れ、タンスの引き出しにしまってもいい。
金融機関に預かってもらってもいい。

これから分かるように「お金を貯めておく」手段の一つが「お金を預かってもらうこと」なのだ。
つまり、預金は、貯金の方法の一つなのである。

元々、郵便貯金は国民に蓄えを奨励することを目的の一つにしていた。
だから、ゆうちょ銀行(旧郵便局)は、「お金を貯める所」というスタンスなので、貯金という。
農協や漁協も同様に貯金である。

銀行には、商売などを通しての決済を便利にするために一時的に預けておくという機能もある。
このため、銀行や信用金庫は「お金を預ける所」というスタンスなので預金という。
(ゆうちょ銀行は「銀行」でありながら、旧郵便局時代の「貯金」のままなので例外)

銀行が破綻した場合、預金は1000万円まで預金保険制度によって保護される。
一方で旧郵便貯金は、政府が支払いを保証していた。
ゆうちょ銀行に民営化されてから、政府の保証がなくなり、預金保険制度による保護に切り替わった。

ゆうちょ銀行は「貯金」なのに「預金」保険制度の適用を受けるのである。
このことからも、預金と貯金の実質的な違いがなくなっていることをうかがい知ることができる。

ところで、証券会社のMMFは元本保証ではないが安全性が高いので、預金・貯金と同じような感覚を持つ人がいる。
しかし、MMFは投資商品なので預金・貯金とは言わない。
証券会社は、売買の取次ぎを行う所なので、「お金を貯める所」でも「お金を預ける所」でもないのだ。

金融自由化の影響で、銀行でもMMFを扱うようになった。
銀行でMMFを買っても「お金を預けた」という認識はマズい。
この場合、銀行が預かっているのは「お金」ではなく「お金と引き換えに買ったMMFの証券」なのだ。
(実際には、銀行と契約している別の信託銀行が証券を預かっている)


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