不法行為 と 違法行為 の違い

結論から言えば、不法行為は法律用語であるが、違法行為は法律用語でなく一般の用語である。

不法行為は民法709条で規定された言葉である。
それによると、不法行為とは「故意または過失によって、法に反し他人の権利を侵害し、損害を生じさせる行為」だという。
不法行為は法律用語なのだ。

民法上の損害賠償責任は大きく2種類ある。
不法行為責任と債務不履行責任だ。

債務不履行責任は「約束を守らないことによる責任」である。
問屋A社がスーパーB社に対し、「約束の日までに、商品1000個を納品する」と約束していた。
ところが問屋A社これを守らず(納品が間に合わず)、スーパーB社が販売の機会を失った。

この場合、問屋A社には債務不履行責任が生じることになる。

不法行為責任は、「故意または過失によって、法に反し他人の権利を侵害した場合」の責任だ。
債務不履行と違って、不法行為には「当事者間の事前の約束」が前提ではない。

C氏の運転する車が誤ってD氏の家に衝突し、壁を壊した場合、C氏には「弁償する責任」が生じる。
これが不法行為責任である。
事故以前にC氏とD氏の間には、約束がない。
約束がない場合の損害賠償責任が、不法行為責任なのだ。

なお、法律では「約束」を「契約」と呼んでいる。

不法行為が法律用語であるのに対し、違法行為は法律用語でない。
違法行為は一般の用語なのである。

広辞苑によると、違法行為は、
[法秩序に反し法令にそむいた行為。犯罪行為、法令にそむいた行政上の処分、民法上の不法行為や債務不履行なども広く含まれる。](広辞苑より)
となっている。

民法上、不法行為と債務不履行は明確に区分されている。
その不法行為も債務不履行も、その他、犯罪行為もひっくるめて、違法行為に含まれているのだ。

不法行為よりも、違法行為の方がはるかに広い意味を持っているのである。

蛇足ながら、「違法行為」は法律用語ではないが、「違法」が付く法律用語もある。
例えば「違法配当」がこれにあたる。

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